労働相談Q&A

社会保険労務士が働く人と雇用する側の労働関係の法令について分かりやすく解説します。

  • Vol.22 身元保証人について

    質問

    求職活動をしていて、正社員の内定通知を受け取りました。
    提出書類がいくつか書かれていますが、その中に「身元保証人を2人」必要と書いてあります。1人は親族で、もう1人は親族以外となっています。
    この「身元保証書」は必ず出さなければいけませんか。もし親族以外で探せない場合、採用されないのでしょうか。また、身元保証人はいつまでの保証になるのでしょうか。

    ポイント

    1. 身元保証書について労働基準法に規定はありません。提出を拒否することもできますが、身元保証書を提出しない場合、企業側も採用を拒否する可能性があります。
    2. 身元保証人の期間は、期間の定めがない場合は3年間、定めがあっても最長5年間とされています。会社によっては更新することもあります。
    3. 身元保証人が探せない場合は、会社に相談してみましょう。

    解説

    身元保証とは、①採用する社員がきちんと仕事に従事できる人という身元を証明する目的、②社員が企業に損害を与えた場合(例えば、会社のお金を無断で私的流用した、会社の顧客情報を流出させて会社に損害を与えた、行方不明になったなど)、本人に十分な賠償能力がない時、本人と保証人が連帯して賠償責任を約束するために必要とされています。
    このような事態が起きなければ、身元保証人に迷惑をかけることはありません。身元保証人を求めるかどうかはそれぞれの企業で任意に定めることになっています。

    身元保証人の期間は、期間の定めがない場合は3年、最長でも5年とされていますが、会社によっては更新してさらに5年延長することもあります。
    身元保証人にふさわしい人物の判断は、会社に一任されており、1人、2人などその条件についても企業ごとで異なっています。一般的には「安定した収入があること」が原則で、友人・知人でもよいのです。これまでは身元保証人の賠償額を決めずに身元保証契約ができましたが、2020年4月からは、賠償額の上限を決めなければいけません。(身元保証に関する法律)
    不幸にも損害賠償するような問題がおきても保証人が全ての責任を取る必要はなく、保証人側には契約解除といった自分を守る権利も残されているので、お願いするために覚えておくといいでしょう。

    身元保証人が探せない場合、企業に相談することをお勧めします。ぜひ採用したい人物であれば、よい助言がもらえるでしょう。

  • Vol.21 時間外勤務した場合の賃金について

    質問

    1日6時間の週5日の短時間勤務をしています。月に2~3回6時間を超えて働くことがありますが、それは残業として給与明細に記載されていないようです。
    先日、会社の総務担当に質問しましたが、総務担当者は、「基本給の中に残業代も含まれている」と説明がありました。よく理解できないので残業代についての計算方法について、教えていただけませんか。

    ポイント

    1. 所定の労働時間を超えて働いた場合、(相談者の場合は所定時間は6時間)その超えた時間について賃金を支払う必要があり、労働基準法第37条に定められています。
    2. 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた場合、その超えた時間については割増賃金を支払わなければいけません。①労働時間の延長(法定労働時間を超えた場合)は 2割5分以上 ②深夜 (22時~5時まで)労働の場合は2割5分以上 ③休日労働(法定休日)の場合は3割5分以上の割増賃金を支払わなければいけません
    3. 残業代が基本給に含まれている場合、残業時間と金額を明確にしなければいけない。

    解説

    賃金は、業務で働いた時間分を支払わなければいけません。
    所定時間を超えて働いた場合の計算については、法令で定めがありますので、会社任せにせずに働く者の基礎知識として理解しておきましょう。
    例えば6時間勤務の人が6時間を超えて働いた場合、時間外勤務手当は8時間 (法定労働時間といいます) までは所定の賃金で計算します。
    法定労働時間の8時間を超えた時間は2割5分以上の割増賃金で計算します。また午後10時から午前5時までを深夜労働として、さらに2割5分以上の割増で計算します。休日は法定休日(週1回)に勤務した場合3割5分以上の割増計算をしなければいけません。

    時間外勤務をする場合は、それが業務命令であれば問題はありませんが、自己都合で居残りした場合は時間外と認められないこともありますので、上司の指示であることの確認をしましょう。とくに時間外勤務は毎月の仕事によって変動することがありますので、自分の出勤簿やタイムカードで勤務した時間を確認するとよいでしょう。

    総務担当が「基本給に入っている」と説明していますが、時間外の賃金は何時間分で金額はいくらなのか確認する必要があります。

  • Vol.20 契約社員から正社員へ変更したときの有給休暇について

    質問

    これまで2年間、週3日フルタイムの契約社員で働いていました。有給休暇日数は年間6日でした。今回途中で正社員採用になりましたが、正社員になると有給休暇日数は増えるのでしょうか。入社日は4月1日です。またいつから変更になりますか。それと有給休暇日数は毎年増えていくのでしょうか。

    ポイント

    1. 正社員に登用されると、有給休暇日数は週の労働日数に応じて変更になります。
    2. 変更される時期は、正社員になった直後の基準日(一般的には入社日)からです。
    3. 有給休暇は勤続年数に応じて、毎年増えていきますが、上限は20日になります。

    解説

    労基法では、入社後6か月継続勤務し、労働すべき日の8割以上出勤していれば、勤務年数に応じた有給休暇が付与されます。
    具体的には、パート期間の5日の有給休暇は、正社員に採用された後も有効です。
    勤務時間が週30時間未満の場合、週の勤務日数に応じた有給休暇が付与されていました(比例付与といいます)。相談者の場合、週3日2年で、6日が付与されていました。

    1. 今回正社員に採用されたことで、下記の有給休暇が与えられます。
    ◆年次有給休暇日数(30時間以上、週5日勤務)

    勤続年数
    付与日数
    6ヶ月
    10日
    1年6ヶ月
    11日
    2年6ヶ月
    12日
    3年6ヶ月
    14日
    4年6ヶ月
    16日
    4年6ヶ月
    18日
    6年6ヶ月以上
    20日


    2. 正社員になってからの変更時期は、正社員になった直後の基準日(4月1日)からです。すぐに変更されるわけではありません。

    3. 算定期間中の出勤率が8割以上であれば、勤続年数に応じた日数が付与されます。
    出勤率が8割未満になると、翌年は有給休暇は付与されませんから、休むと欠勤になることがあります。
    しかし、その翌年8割以上出勤すると、その勤続年数に応じた有給休暇が与えられますが、上限は20日となっています。

  • Vol.19 就業規則は、だれがどのように作成するのですか

    質問

    職場で働く場合に、労働時間や休憩、時間外労働、休日などについて、上司に確認すると上司から「就業規則で確認して」と言われました。また、同僚が休職したいと申し出たときに「わが社は、就業規則に休職制度はないので、役員と相談して」と言われました。
    そもそも就業規則は誰が作成するのですか、また就業規則に書いてなければ、何もできないのですか。教えて下さい。

    ポイント

    1. 労働者が安心して働ける明るい職場つくりのために労働時間や賃金、人事・服務規律などを定めます。10人以上の労働者の労働条件や待遇の基準をはっきりと定め、常時10人以上の労働者を使用する事業場においては、これを作成しまたは変更する場合に、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。(労基法第89条)
    2. 就業規則を作成する際には、絶対的記載事項(法で定めた必ず記載すべき事項)と相対的記載事項(会社で任意に定めた事項)があります。(労基法第89条)
    3. 就業規則を作成したら、労働者全員に周知(知らせる)しなければいけません。

    解説

    1. 労働時間や休日、賃金、退職に関することなどは、絶対的記載事項ですので、就業規則を確認することが大切です。
    2. 休職に関することや退職金、懲戒に関することなどは、相対的記載事項ですので、それぞれの会社で定めることができます。自社の就業規則で休職の項目があるか確認して下さい。
    3. 常時10人以上の労働者が働いている場合は、就業規則を作成して、労働者全員に周知しなければいけませんが、周知の方法は色々あります。会社側から説明会を行う、労働者がいつでも見える場所に置いておく、電子媒体等で周知するなどです。

    就業規則に記載がなければ、会社の制度が利用できないというものでもありません。例えば、休職の定めがなくても会社の承認により、一定期間の休職を認めることもできます。就業規則は、会社の働き方の原則ですが、その運用はある程度柔軟に行われています。
    就業規則を作成し、又は変更する場合の所轄労働基準監督署長への届出については、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見書を提出します。

    社内で就業規則の学習会を行って会社の服務規律を理解するのも良い機会です。

  • Vol.18 新型コロナに関する休業手当金について(令和2年9月版)

    質問

    令和2年3月頃から新型コロナウィルス感染症の影響で、勤務日数が減っています。
    給与は一部支払われていますが、上司は「給与全額ではないが、休業手当金として支払っている」とのことです。休業手当金というのは、支払い基準が法律で定められているのでしょうか。また、休業する日数に上限があるのでしょうか。
    マスコミ報道で、雇用調整助成金は会社が申請すれば会社に支給されると聞いています。
    直接、従業員に支払う助成金はないのでしょうか。

    ポイント

    1. 休業手当金は、使用者の責任による事由で休業させた場合、休業期間中の従業員に、平均賃金の60%以上の手当を支払わなければならないものです。(労基法第26条)
    この際の休業とは、働く日(労働日)に「働く意思と能力があるが労働することができない状態」をいいます。本来の労働する必要のない休日や病休、自己都合で取得する有給休暇などは該当しません。
    2. 休業手当は、平均賃金の100分の60以上を支払わなければいけません。100分の60以上であれば上限はありませんし、休業日数についても上限はありません。
    3. 雇用調整助成金は使用者が申請し、休業手当を支払った使用者に支給される助成金です。現在、休業した従業員に支払う支援制度はありませんが、現在国会でも直接従業員に支払う支援策も検討されているようです。今後に期待したいです。

    解説

    1. 今回の新型コロナ感染症の拡大感染防止のため、多くの企業で活動を制限し、従業員の出社日数や勤務時間数を減らしたり、在宅勤務などの導入を実施しています。この休業が使用者責任なのか議論はありますが、国は従業員の雇用を維持する企業に雇用調整助成金で支援することにし、使用者都合として休業手当金を支払うことを求めています。仕事ができないための休業なので、テレワークや、病気休暇や自己都合で休む場合は対象とはなりません。
    2. 休業手当金は平均賃金の100分の60以上を支払わなければいけません。(基本給ではありません)休業手当の支給割合は60%以上であれば使用者が決めることができます。
    3. 休業手当の計算は、1日当たりの平均賃金✕60%以上✕休業した日数で計算します。また、短時間等の時間休業であった場合は、時給✕60%以上✕休業した時間、を支給しなければいけません。
    今回の新型コロナ感染症による影響で、企業も従業員も働く環境が大きく変化しています。政府の支援策を利用して厳しい環境を乗り越えましょう。

  • Vol.17 始業前、業務終了後の清掃時間は労働時間ですか

    質問

    私の職場では、始業前に早めに出勤し、全員が事務所の内外を清掃しています。また、業務終了後に10~15分の清掃時間があり、業務が忙しいときは終業時間をオーバーすることがあります。
    この時間については、暗黙の了解事項となっているようで、賃金の支払もありません。これは労働時間にならないのでしょうか。

    ポイント

    1. 清掃時間が会社から義務化されていて、強制されていれば、労働時間になります。
    2. 会社からの強制はなく、自主的に行っていれば労働時間にならないこともありますが、清掃している社員と清掃しない社員に何らかの格差(例えば評価に差があるなど)があれば、労働時間と判断されます。
    3. 労働時間と判断されると、所定労働時間外であればその時間の賃金の支払が必要となります。

    解説

    労基法上の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと」を指します。
    始業から終業までの時間から休憩時間を除いた所定労働時間は、特別な事情のない限り労働時間となります。ですから始業前の清掃、仕事の準備時間、朝礼などは、客観的な事実を踏まえて労働時間かどうかを判断します。
    これまでの最高裁の判断基準では、仕事の準備を使用者から義務付けられていれば「使用者の指揮命令下に置かれたもの」として労働時間になるものと判断されることが多いです。

    ただ、職場を清潔にしたい、快適な職場づくりのために、社員が自主的に行っている、参加できない社員に対して、特段不利益を講じない、ということであれば、労働時間と判断されないこともあります。
    「職場環境を清潔に保つこと」は、事業主にも働く人にも義務となっています。(労働安全衛生法規則第619条、620条)その理由として、作業場を清潔に保つことで、事故防止、疾病予防等のねらいがあります。
    清掃を、どの時間でどの程度行うかは、職場全体で話し合い、ルールを決めるなどの工夫が必要でしょう。各職場に合った方法を検討するのがよいと思います。

    就業時間内に行うようにして、年に1回、2回の大掃除などは時間外になるのであれば、計画して時間外手当を支払う必要があるでしょう。

  • Vol.16 損害賠償を請求されたら 払わなければいけませんか

    質問

    先日、雨の日に会社の車を運転中にスリップして破損してしまいました。事業主から、修理費の全額を賠償するように言われました。
    全額、自己負担で損害賠償しなければいけませんか。また毎月の給料から差し引くと言われたのですが。

    ポイント

    1. 会社に与えた損害が従業員の「故意」でない限りは、全額を請求することはできません。
    2. 従業員の責任が重大である場合は、「損害の公平な分担という見地から信義則上相当な限度の範囲」でいくらか賠償することもあります。
    3. 事業主が、一方的に給料から損害賠償額を天引きすることはできません。
    4. 会社が従業員に対して損害賠償請求をすることについては、法律上の妨げはありませんが、必ずしも従業員が支払わないといけないわけではありません。

    解説

    業務中の会社の車の事故は、会社は車両保険の加入で損害を抑える方法をとっています。 従業員が、故意に事故を起こしたということでなければ、従業員に重大な過失があったとはいえないことがあります。会社に与えた損害の状況は次の項目を判断根拠とします
    ① 会社は、車両保険等に加入することにより車両損害を分散させる手だてをとっていなかった場合、会社側責任が問われます。
    ② 当該従業員が交通事故を起こすことが日常茶飯事であったということは、会社が従業員に対する安全指導、車両整備等にも原因があったものと推認されることで、会社側と従業員の責任を「公平な範囲」で判断します。
    ③ 今回の事故の発生について、従業員に重大な過失があったのかということ。
    ④ たとえ会社から従業員に対する損害賠償が許される場合でも、毎月の給料から天引きすることも事業主だけの判断ではできません。給料は全額支払わなければならないという「全額払いの原則」が法律上定められています。(労働基準法24条、17条)

    以上のことから、多額の損害賠償を支払う可能性は低いと思われます。「故意」でないことを丁寧に説明する必要があります。

  • Vol.15 働くときのルールはどのようになっているのでしょうか

    質問

    職場の問題や働き方で困って労働相談コーナーに電話しました。
    相談員の方から「働くときのルール」を教えていただきましたが、法律で決まったルールがあるのでしょうか。また、働く際に、どんなことに気をつければよいでしょうか。

    ポイント

    1. 働くときは、雇用する人と雇用される人(労働者)の間で、契約を結ぶことが労働基準法で定められています。
    2. 働くときの契約は、雇用契約書や労働条件通知書の発行が必要です。
    3. 働く時の契約は「雇用契約書」「労働条件通知書」で行われますが、その内容は法律に違反してはいけません。その契約内容を「働く時のルール」といっています。

    解説

    ① 就職する際は、契約の内容をお互いに確認しましょう。
    「雇用契約」の内容について不明確な点やわかりづらい点は、説明を受けて納得しましょう。
    ② 契約は、口頭でも成立しますが、お互いが合意した証明としてできるだけ文書で作成するのがよいのです。特に事業主が発行する「労働条件通知書」は文書で明示することが定められています。ただし、2019年4月からは「ファクシミリを利用する送信の方法」と「電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信の方法」でもよいことになりました。
    メールの通知は、労働者が希望していなければ、文書で交付しなければいけません。
    ③ 雇用契約の内容は、法律で定められ、「働く時のルール」と呼ばれます。
    ㋐契約期間 ㋑就業の場所 ㋒従事する仕事の内容 ㋓始業・終業・労働時間・休憩時間・所定外労働時間の有無など ㋔休日 ㋕休暇(年次有給休暇など) ㋖賃金(基本給、手当、賞与、退職金など) ㋗退職に関する事項(定年、退職の手続き) ㋘その他(社会保険の加入状況など)

    働く際には、労働基準法をはじめ労働安全衛生法、育児・介護休業法など、多くの法律があり、その対象になったときに法律に基づいて適用しなければいけません。
    働く側として、雇用契約や労働条件の内容を確かめて、安心して働き続けましょう。

  • Vol.14 遅刻の際の賃金カットについて

    質問

    会社の規程で、「遅刻した場合は5,000円の賃金カットをする」という項目があります。社員の中でも、「これは厳しいのではないか」「そもそもこのやり方は正しいのか」という意見も出ています。遅刻するのは良くないことですが、その処分の方法はどのように考えたらよいのか、ご指導ください。

    ポイント

    1. 遅刻した時間の賃金をカットする
    2. 遅刻は服務規律違反であり、懲戒として処分する

    原則として、賃金は労務提供に対して支払われなければいけません。その原則からすると、遅刻した時間は、労務提供がなかったことになりますので、遅刻した時間に賃金を払わなくてもよいことになります。つまり「ノーワーク・ノーペイの原則」です。
    ただ、遅刻した時間が何時間にあたるのかについて、注意する必要があります。「ノーワーク・ノーペイの原則」は、働かなかった時間については賃金を支払わないので、遅刻した時間以上の分まで、賃金をカットすることはできません。
    もう一つは、遅刻を服務規律違反として懲戒処分とすることになっていれば、賃金を減額することができます。

    解説

    ①の場合、遅刻した時間以上に賃金をカットすることはできません。ですから1ケ月の遅刻が、合計で何時間になるのかを確認する必要があります。遅刻合計時間の賃金を支払わないことになります。
    ②の場合であれば、遅刻の時間に関係なく賃金をカットすることができますが、その合も労基法(労働基準法第91条)で、「1回の額が平均賃金の半額を超え、総額が1賃金支払い期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とされています。

    以上のことから、1回の遅刻で5,000円の額が1日の半額を超えていないか、また月に数回の遅刻の場合は、1賃金支払い期間で賃金総額の10分の1を超えていないかを、確認する必要があります。
    この機会に、みんなで遅刻の対応について話し合い、お互いに理解することも必要です。

  • Vol.13 ダブルワークの雇用保険加入について

    質問

    現在、2か所でパートとして働いています。雇用保険に加入するには、どのような働き方が良いのか教えて下さい。

    ポイント

    雇用保険は、2か所以上で働いていても、一つの雇用関係(生計を維持するに必要な賃金を受ける事業所)でのみ加入します。つまり2か所で雇用保険加入はできません。

    雇用保険の加入要件は次のとおりです。
    1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
    2. 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。

    解説

    労働者を1人でも雇用する事業主は、雇用保険に加入が義務付けられていますが、上記①②の要件が必要です。
    現在2か所でパートとして働いているということですが、どちらかの働き方が週20時間以上になっているのか、確認しましょう。
    2か所以上の事業所で働いていても、雇用保険は、一つの雇用関係のみの加入となります。その場合、原則として相談者が生計を維持するために必要な賃金を受ける事業所で雇用保険の加入手続きを行います。

    1か所の事業所が週20時間以上で、もう1か所が週20時間未満の勤務の場合
    この場合は、週20時間以上勤務している事業所だけで雇用保険に加入します。雇用保険料は、その事業所で支払われる給与で計算されますので、もう一方の事業所の給与は計算されません。

    2か所の事業所が20時間未満の場合
    この場合は、どちらでも雇用保険の加入はできません。
    雇用保険の加入がなければ、離職した際に失業給付等を受けることができませんので、できるだけ雇用保険に加入できる働き方をお勧めします。

    最近は、柔軟な働き方ということで、副業や兼業を認める会社も増えてますし、厚生労働省でも「兼業・副業の促進に関するガイドライン」を発表しています。できれば、雇用保険加入事業所に勤務しながら、副業や兼業も検討するとよいと思います。